この夢、煙にのせて。

   夢煙。

ルイナ_煙管

ヘアスタイル:エンガショートヘア
コスチューム:ハフリマイヒメ玄
アクセサリー1:鈴付きネコ耳
アクセサリー2:紫かんざし
アクセサリー3:編みこみおさげ
アクセサリー4:貝殻ピアス 紫
武器迷彩:煙管ノ槍

 

 

 

 

ボクが”煙師”を志したのは、今から三年ほど前のこと。

 

ボクは以前からずっと、小さな宿場町の茶屋店でアルバイトを続けていた。今でも続けている。

 

三年ほど前のとある日。

 

休憩時間にふらっと店の外へ出ると、そこには人だかりが出来ていた。

 

こんな、小さく特段目立つもののない宿場町が賑わうのも珍しかった。

 

ボクは、小腹を満たすためのみたらし団子を口に咥えながらその群れの中心を覗くと、そこには一人の男がいた。

 

白髪初老のその男は、大きな煙管を手に、大袈裟な身振り手振りで大衆を惹きつけていた。

 

旅の道芸人かぁ。

 

そんな風に思って、男の芸をぼーっと眺めていたのだが、次の瞬間、ボクは賄いのみたらし団子を喉につまらせそうになってしまった。

 

「ぃよぉぉおーっ!」

 

白髪初老の男が威勢よく声を上げると、その手に持つ煙管から、白い煙がもくもくと立ち昇る。

 

男の手の動きに呼応して、その煙は一つの形を成していった。

 

「ギグル・グンネガムだ!」

 

ボクは思わず声を上げていた。

 

男の持つ大きな煙管の先から次々と吐き出される白煙は、この惑星ハルコタンにまします伝説の悪鬼「ギグル・グンネガム」の姿を形作った。

 

大喝采。

 

周りの大衆からも拍手と歓声が沸き、どんどん人が集まってくる。

 

老若男女、全ての者がまるで子供のように目をキラキラと輝かせ、男の操る煙に惹きつけられていた。

 

男は大衆のその様子をしたり顔で見やり、今度は一つ、指笛を鳴らした。

 

ピィィィィ・・・

 

甲高い音とともに、煙管から再び白煙が立ち昇る。

 

もくもくと吐き出されたその煙が次に形作ったのは、

 

「スクナヒメ様だ!」

 

ボクはまた声を上げていた。

 

割れんばかりの大歓声。

 

このお祭り騒ぎに誘われて、街道沿いの店という店から、次々に人が出てくる。

 

小さな宿場町の小さな街道は、この男の纏う煙によって、一つの賑やかな舞台となっていた。

 

男が煙管を振り回しながら舞うと、煙で出来たギグル・グンネガムとスクナヒメ様の一騎討ちが始まる。

 

「やれーっ!いいぞーっ!」

 

「スクナヒメ様ぁぁー!」

 

観衆の声援を受けて、スクナヒメ様は見事にギグル・グンネガムを倒し、煙の戦いを制していた。

 

ギグル・グンネガムが文字通り霧散すると、煙のスクナヒメ様が大衆の方を向き、

 

「わらわの勝ちじゃ」

 

勝利の決め台詞と同時に、空へゆっくりと昇っていく。

 

拍手大喝采の中、男は大きな煙管を背負うとこちらを向いて一礼し、次の旅へと去っていった。

 

 

 

ルイナ_夕暮れの和室にて_retouched

 

その日を境に、ボクは寝ても覚めても”煙”のことしか考えられなくなっていた。

 

目を瞑るといつも、煙で出来たスクナヒメ様が、あの男の舞と呼応してギグル・グンネガムを翻弄していく姿が浮かんだ。

 

 

 

本当に楽しそうだったなぁ。

 

 

 

あの男が煙を操っている時は、本当に楽しそうにしていた。

 

ボク。。。?ボクは。。。

 

ボクの当時の生活に大きな不満があるわけではなかったと思う。

 

そりゃぁ、お金も無かったし、アルバイトでギリギリの生活を送っていたというのは事実だ。

 

そんな中、何とも形容しがたい”つまらなさ”を、ただ流れゆくだけの日常の中に感じていたのかもしれない。

 

そんな時に、あの”煙”とボクは出会った。

 

あんなに感動を覚えたことは、ボクのまだ浅い生涯では、最初で最後だった。

 

色々と調べていくうちに、あのように煙管を使って白煙を操る道芸を行う者のことを、”煙師”と呼ぶことが分かった。また、その芸のことを”煙芸”というらしい。

 

つまりボクは、”煙師”による”煙芸”の虜になっていたのだ。

 

また、あんな風に、自分の腕一本で、大衆のキラキラした笑顔を自分のものにできるだなんて、なんて羨ましいんだ、とも思った。

 

改めて思い返してみると、とてつもなく恥ずかしいことだが、ボクはその日から”煙師”に憧れ、何の知識も技も持ち合わせていないのに、煙師見習い用の大きな煙管を買って、いつも大事に背負うようになっていた。

 

煙芸のための大きな煙管は、ボクが考えていたよりも遥かに高価なもので、ボクのなけなしのアルバイト代はほとんどすっからかんになってしまったが、それでも一番安い煙芸用の煙管を迷わず購入した。

 

ボクの、その日からひと月ほどの食事内容を大いに犠牲にして手に入れたその煙管を背にすることで、ボクの心は満たされた。

 

夜、床に就く時は、いつも隣に煙管を置いて添い寝をするように眠った。

 

”煙芸”の一つもできないボクは、それでも毎日初めて手に入れた煙管を磨いた。

 

そして日が経つにつれて、格好だけじゃない、本当の”煙師”になりたい。

 

ボクの”煙芸”でみんなを笑顔にしてみたい。

 

そんな夢を、抱くようになっていた。

 

 

 

しばらく時は流れる。

 

 

 

とある日の夕暮れ。

 

茶屋店でのアルバイトを終え、帰路をのんびりぷらぷらと歩いていると、街道の裏路地の小さな切り株に、一人の男が腰掛けていた。

 

白髪初老の男。

 

あの時に出会った”煙師”だ。

 

何という奇跡。

 

これを邂逅と呼ばずして何と名を付けようか。

 

 

 

実は、やや人見知りなボクは、あまり自分から誰かに声をかけることができない。

 

だが、この日のボクは何故か違った。きっと、運命的な何かに動かされていたのだと思う。

 

ボクは白髪初老のその男に声を掛けた。

 

「あ、あの!」

 

「んん~?」

 

「あなたはあの時の、”煙師”さん。。。ですよね?ボク、その、あの時のことが今でも忘れなれなくて!」

 

「ほぉ。お主もわしの芸を見てくれていたのか。有難いことじゃの」

 

「それで、その。あの時確かに感じた心の震えが忘れられなくて、あの、その。。。」

 

「ほぅ?」

 

「ボ、ボクも、”煙師”になりたいんです!ボクの”煙芸”でみんなを笑顔にしたいんです!だからその。。。師匠と呼ばせてください!」

 

「はぁ?なんじゃ藪から棒に」

 

「ボクに、”煙芸”を教えて下さい!!」

 

「いやいや、待てぃ。まずは落ち着けぃ」

 

「落ち着いています!」

 

いや、あの時のボクはどう考えても落ち着いていなかった。

 

「あの日、あの時に見た”煙芸”はボクの人生を大きく変えたんです!師匠の”煙芸”に憧れて、何の知識も技も持ってないのにこの煙管も買っちゃって。で、でもいつかボクも”煙師”になって、師匠のように、”煙芸”を披露する旅に出たい!師匠のように、みんなを笑わせたいんです!」

 

「お主にわしのことを師匠と呼ばせることを、まだ許可してはおらんぞ」

 

「あ。。。ご、ごめんなさい。。。」

 

「ははっ、冗談じゃ。唐突過ぎてよう分からんが。わしとて、そのように思うてもらえることは光栄なことよ。しかして。。。」

 

「は、はい。。。?」

 

「”煙師”になると言うても、お主、オナゴじゃろう?」

 

痛いところを突かれた。

 

そうなのだ。

 

”煙師”は、古き時代からのしきたりがあり、まずは男であることが暗黙の了解とされていた。過去に渡って歴代の”煙師”に女性は一人もいないのだそうだ。

 

そしてボクは女だ。

 

まず、前提から夢は虚しく崩れ去っている。

 

でも、ボクはどうしても諦められなかった。

 

「煙管を持つ時は、ボクは男になります」

 

「ふぁ!?」

 

「あの日師匠の”煙芸”を見て、”煙師”を志したその時から、髪も短く切りました。胸の晒しもキツく巻くようにしました。もともと胸はあまり無いですけど。。。」

 

「うぅむ。。。」

 

「ボクは”煙師”になりたいんです!師匠のように、世界中の人に、煙にのせて幸せを運びたいんです!」

 

「いやしかしな。。。」

 

「師匠っ!!」

 

明らかに困った顔をした師匠だったが、ボクの真剣な目を見ると、諦めたように首を振り、着物の袖を正した。

 

「”煙師”の道は至極険しく狭き門。己の志を折られ、砕けていった者は天上銀河の数ほどおる。お主の決意が、後悔を呼ぶやも知れぬぞ」

 

「心得ています」

 

「ひとたび煙管を手にすれば、わしの教えは鬼のそれよりも厳しいぞ」

 

「望むところです」

 

「ほぉ」

 

ボクはどんな困難でも、どんなに厳しい道でも、可能性が潰えない限り諦める気は毛頭無かった。

 

あの時にボクの心を打った感動は、ボクがこの世界で見てきた何よりも壮大で、何よりも魅力的だったから。

 

「良いか」

 

「はい」

 

「男には、二言は無いのじゃぞ」

 

「二言は言わない!ひとたび煙管を掴めばボクは男だ!」

 

「その心、偽りはないな?」

 

師匠の真っ直ぐな視線を、ボクはありったけの真っ直ぐな瞳で見返した。

 

「この心は、ボクの魂の真実。この想い、生涯忘れることはありません」

 

「誓えるかの?」

 

「煙に誓って、二言はありません」

 

ボクの言葉を聞いた師匠の表情が和らいだ。

 

「生意気言いよるわっ!」

 

「だ、だめ。。。でしょうか」

 

「ははっ!善き哉善き哉!その心意気、わしは嫌いじゃないのぅ」

 

「それじゃあ。。。!」

 

「どれ、ちと、ついて来い」

 

「。。。はいっ!」

 

「して。お主、煙管を背負っておるが、煙を出すことはできぬのか?」

 

「はい。。。何度か火を点けてみたのですが、全く煙はでませんでした。火の点け方が悪いのかなぁ。。。」

 

「ふぁ!?お主、その煙管に火を点けたと!?」

 

「え、は、はい」

 

「この。。。馬鹿者がっ!」

 

「いてっ!」

 

入門数分後に師匠に頭を叩かれた。

 

何はともあれ、こうしてボクは、”煙師”を目指すこととなったのだ。

 

 

 

その後の師匠との修行は熾烈を極めた。

 

”煙芸”とは己の内包するフォトンの力によって煙管から煙を噴出させ匠に操る芸なのだが、まず、ボクはフォトンというものを知らなかったのだ。

 

「お主、料理人を目指す者が包丁を知らぬのと同義じゃぞ」

 

師匠には溜め息混じりにこう言われた。

 

 

 

才能が無くても、腕が無くても、それでもこの熱き想いは誰にも止められなかった。

 

師匠も、ボクのその想いが本物であることは、認めてくれていたと思う。

 

師匠が自分で言っていたとおり、稽古の時の師匠は正に鬼のようだった。

 

悪鬼ギグル・グンネガムが可愛く思える程だ。

 

「一切オナゴ扱いはせんぞ」と言った師匠の言葉のとおり、稽古中は毎日のように頭を叩かれ、叱られた。

 

その度にボクは泣いてしまった。

 

成長しない自分が情けなくて、悔しくて、涙を堪えられなかった。

 

ボクが泣くと師匠は決まってこう言った。

 

「涙を拭け。泣いてはならん。お主も男なら、歯を食いしばり煙管を握れ」

 

ボクは稽古の度に泣き、その度に袖で涙を拭った。

 

 

 

ボクは毎日、茶屋店でのアルバイトが終わるとすぐに師匠の居宅へ向かった。

 

休みの日は早朝から師匠の元へ足を運んだ。

 

「あの、迷惑ではないのですか?」

 

毎日のように師匠の元を訪れていたが、ある日、ふと不安になって聞いたことがあった。

 

「ははっ、構わん。どうせ芸をしている時以外は暇じゃ」

 

そういった言葉を鵜呑みにし、ボクは時間さえあれば毎日毎晩師匠の元へ通い詰めた。

 

 

稽古の時はそれこそ鬼のような師匠だったが、稽古が終わると一緒に食事をした。

 

その時の師匠はいつもの師匠で、優しく、落ち着いた雰囲気で、実はちょっと照れ屋だったりもした。

 

そんな師匠との日々が、ボクにとってとても居心地が良くて、”煙芸”の稽古とは別に、ここに足を運ぶ理由の一つとなっていた。

 

食事をしながら師匠とは本当に色んな話をした。

 

師匠がかつて旅した村や町。

 

そこで出会った人々との触れ合い。

 

嬉しかったこと、悲しかったこと。

 

時には危険な目にも遭い、お粗末な剣術で必死に難を逃れたのだとか。

 

師匠は、食事の後はいつも決まってお気に入りの清酒を片手に、旅の話を聞かせてくれた。

 

そんな、ボクにとっては夢物語のような話を聞き、ボクはますます”煙師”に憧れていった。

 

 

休みの日に師匠の元へ訪れる時には、ボクのお手製の「みたらし団子」をお土産に持って行った。

 

「お主の拵える団子と抹茶は、天下一品じゃのぅ」

 

いつも師匠はそう言って、ボクの作る団子をたらふく食べてくれた。

 

”煙師”としては未熟も未熟、大未熟なボクだが、茶屋店店員としては、なかなかのものなので、別の宿場町の茶屋店からお誘いが来るほどだ。

 

 

 

師匠は厳しく、優しく、温かい人だった。

 

そんな師匠との日々は、いつしかかけがえのないものとなり、ボクの毎日の楽しみになっていた。

 

師匠の元で”煙芸”の稽古をするようになってから一年程経って、ボクはようやく煙管から煙を立ち昇らせることが出来るようになった。

 

初めて煙管の先から白煙が現れた時、ボクは嬉しさのあまりに声を出して泣いてしまった。

 

その時、師匠はいつものように「涙を拭け。泣いてはならん。お主も男なら、歯を食いしばり煙管を握れ」と言ったが、その顔は微笑んでいたのを、今でも鮮明に覚えている。

 

 

 

その後も修行は厳しさを増していき、泣き虫なボクは相変わらずピーピー毎日涙を流しながら稽古を続けていた。

 

 

 

そうこうしているうちに、師匠と出会ってから、三年という月日が流れていた。

 

まだまだ”煙師”と呼べない程のひよっこだが、ボクも少しずつ煙の扱いに慣れ、初歩的な小さな”煙芸”ができるようになっていた。

 

 

 

そして、約束の日がやってきた。

 

 

 

ボクはこの日を待ち望んでいたにも関わらず、この日がずっと訪れなければ良い、そう思っていた。

 

「三年、よう耐えた」

 

「師匠。。。」

 

「”煙師”としてはまだまだ未熟なお主じゃが、それでも立派に成長した」

 

「師匠。。。本当に、本当に、お世話になりました」

 

三年間。

 

師匠に稽古をつけてもらう時に、そう約束したのだ。

 

誰かに稽古をしてもらっているうちは、”煙師”とは呼ばれない。

 

師と仰ぐものの稽古を終え、煙管とともに独り立ちをし、その身一つで旅をして初めて”煙師”となるのだ。

 

初めて稽古をしてもらった夜、ボクは師匠にそう告げられ、約束をした。

 

その日が、今日だった。

 

これからは、師匠の元を離れ、見たこともない地へ赴き、旅をしながら己の芸を磨いていくことになる。

 

 

 

「師匠と過ごした三年間は、ボクにとって生涯忘れられない大切な思い出となりました。本当に数えきれないほどのことをお教えいただき、感謝してもしきれません」

 

「そうか」

 

「厳しい稽古も、その後にいつも語ってくれる夢のような話も、師匠との何気ない毎日も、全部ボクにとっては生涯の宝です。ボクは。。。ボクは。。。」

 

駄目だ。

 

ボクは男だ。

 

”煙師”として独り立ちをする門出の日に、どうしてボクは。

 

両目から零れそうになる涙を袖口で拭う。

 

歯を食いしばり、隣に置いた煙管をギュッと掴む。

 

師匠の顔を見ると涙が溢れそうで、ボクはずっと俯いたまま涙を堪えた。

 

「白鞘よ」

 

「はい」

 

白鞘。

 

これは師匠がボクにくれた、世界でたった一つの”煙名”だ。

 

”煙師”は、”煙芸”を演じる時には、自分が師として教えを仰いだ者から授かる”煙名”を用いる。

 

 

白鞘。

 

この名には、師匠のボクに対する想いが込められている。

 

 

「お主はまだ”煙師”としては未熟よ。これからの旅で、つらいことも多かろう。心折れることも多かろう。そんな時は、ここにて、三年という月日の中で磨いてきた己の心を信じるのじゃ。その心を、お主が紡ぎだす煙にのせ、人の心を打っていけ」

 

「はい。。。」

 

「白鞘よ。お主は、怠れば錆びるが磨けばどこまでも輝く、強き煙をもっておる。今はまだ白鞘に収まるお主の煙が、熟して真打ちと成りし時、再びわしの元へ来い」

 

「え。。。?」

 

「お主の煙が、わしを満足させてくれる日を、待っておるぞ」

 

 

 

師匠の顔を見ると、ボクの両目から涙が零れた。

 

師匠はこの日、ボクに「泣くな」と叱らなかった。

 

だからボクは、もう涙を拭わなかった。

 

流した涙は頬を伝って落ち、師匠の居宅の畳を湿らせた。

 

この畳の匂いを、ボクは三年の間、嗅ぎ続けてきた。

 

この匂いが、ボクの居場所だった。

 

 

「師匠。。。ボクは。。。ボクは。。。師匠と過ごした毎日が忘れられなくて、忘れたくなくて、旅にでなければいけないのに、未だにずっとここに居たいと思ってしまう。馬鹿だと言ってください。大馬鹿者と頭を叩いてください。ボクは。。。師匠と過ごした毎日が本当に幸せでした。師匠と煙に包まれていた日々が、ボクの全てだった。だから。。。だから。。。!」

 

「白鞘よ」

 

「。。。。」

 

想いは溢れ、言葉にならなかった。

 

それでも白鞘と呼んでくれた師匠の顔を、ボクはまっすぐに見た。

 

ボクが師匠に弟子入りを志願したあの時、ありったけの力でまっすぐに師匠を見たように。

 

あの時と違うのは、ボクの瞳から、止めどなく涙が溢れていることだけだ。

 

「白鞘よ」

 

「はい。。。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お主の団子、美味かったぞ」

 

 

 

 

**************************************************

 

さて。

 

あやつも一人、旅に出よった。

 

誰もおらんから、この老いぼれ、たまには独りごちてみようかのぅ。

 

 

 

何かを滅して得る笑いの裏側には、必ずして涙の池が広がるからのぅ。

 

わしは弱き者である上に、傲慢であるからして。

 

何者かの哀しみの上に成り立つ喜びは、見てみて心が痛むのじゃ。

 

 

 

だからわしは、武器を捨て、アークスを辞め、そして煙管を手にとった。

 

何の代償も無い、満開の笑みを求めていたかったんじゃのぅ。

 

そして。

 

こんな老いぼれの理想をのぅ、お主に託してみたいのじゃ。

 

***************************************************************

 

 

 

 

 

ルイナ_煙管03

 

人が夢を追う時。

 

厳しいこともある。

 

認められないこともある。

 

馬鹿にされ、嘲笑われることだってある。

 

でも。

 

その夢は、誰の夢なんだ。

 

紛れも無い、その人だけが背負える夢だ。

 

 

 

だからボクは、辛くても、困難でも、誰に何と言われたって、これからも煙管を背負い続けるだろう。

 

「お主の煙が、わしを満足させてくれる日を、待っておるぞ」

 

こう言ってくれた師匠に、ボクの煙を見せたいんだ。

 

だからボクは”煙師”として、旅に出よう。

 

 

ルイナ_煙管04

 

まだまだ未熟なボクは、”煙師”だけでは到底やっていけない。

 

知らぬ土地を根無し草でふらふら訪れながら、しばらくは、茶屋店でのアルバイトと”煙芸”との二足草鞋を脱ぐことはできないだろう。

 

でも。

 

いつか、ボクの煙が人々を魅了し、笑顔を掴んでいけたらと思う。

 

そして、立派な”煙師”になりたいと思う。

 

 

錆びることのない強き思いを胸に、今日も前を向いて、見知らぬところへ歩いて行こう。

 

 

 

この想い。

 

 

この夢、

 

 

煙にのせて。

 

 

 

Fin.

****************************************************************

 

 

今回は、一つの武器迷彩を主役に、ショートストーリーを描いてみました。

最後までご覧頂き、ありがとうございます(*´ڡ`●)

 

私はたまーにこうして、

「オラクルの別の場所ではこんなことがあったかもしれない」

そんな雰囲気のショートストーリーを書いていたりしますw

 

以前にも、別の物語をショートストーリーとして、本サイトへ掲載していますので、以下にリンクを貼っておきます。

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2016-05-07 | Posted in Story10 Comments » 

コメント10件

 といず | 2016.05.07 18:49

更新お疲れ様!
ショートストーリーシリーズとても楽しみにしてたからまた更新があって嬉しい!

オラクルの別の場所で合ったかもしれないお話、か。
そうだね、この無限に広がる世界ではいろんな出来事があるかもしれない。

人に感動を与えたいと言う純粋な心か。
うん、純粋に憧れる。
そういう人こそ、本当に人の心を打てるかもしれないね。
白鞘さんが積んできた修行の日々の成果が何れ本人が望む形で叶うといいな。

もし自分がその世界の住民なら、師匠さんも白鞘さんのも、両方の煙芸を拝見したいものだね!

 ルイナ | 2016.05.09 0:40

といちゃん(といずさん)。

コメントありがとう~!
ショートストーリーシリーズ、たまにだけど、こうして楽しみにしていてもらえてすごく嬉しいヾ(o´∀`o)ノ

オラクルではきっと色んな人が色んな思いを抱えて生きている。
その隅っこの方ではこんなこともあったかもしれない。
なーんていう妄想をお話にしてみました♪

白鞘はきっと、このあとも困難な旅路をゆくのかな?
それでもきっと三年間の間に師匠と培ってきた強い心や大切な想いを忘れずに、いつかは師匠の元へ、”煙芸”を披露しに行くのかな!

そうだね~!
書いた本人の私も、是非二人の共演を見てみたいな!ww

 りゅーえ | 2016.05.08 3:17

更新お疲れ様ですん!

密かに楽しみにしていたショートストーリーがついにまたっ!

「PSO2の世界」という素晴らしい舞台があるのだから、その中には色々なストーリーがあって良いハズ。もちろんアークスの闘い以外の部分であっても。

精一杯自分の夢に向かって進む人、夢を叶えた人、叶えられなかった人、色んな人がこの世界にはいる”かもしれない”と思いを馳せるのも「PSO2の楽しみ方」の一つなんだなと思いました。

発想はいつだって自由じゃなきゃね!

 ルイナ | 2016.05.09 0:45

おきょたん(りゅーえさん)。

コメントありがとうございますんっd(○´∀`)b

わぁー!
ショートストーリーを楽しみにしていてもらえてすごく嬉しいww
ありがとぉ~( ´∀`)b

PSO2の舞台が素敵だからこそ、こうして、どこかにはまだ見ぬストーリーがきっとあるように感じているのかも。
オラクルという無限の可能性が、私の中の妄想を駆り立てているのかもしれませんΣ(´∀`;)

夢を持つ人は多い。
それを諦めてしまう人、困難さに苦悩する人、認められないことを嘆く人。
それでも自分の信じた道を突き進もうと頑張る人。

私自身、そういった人の夢は応援したいと思っています。
その一つの小さな物語として、今回は白鞘と師匠の短いストーリーを描かせてもらいました。

オラクルという魅力的な舞台を元に、自由な発想をしていくことは、とっても楽しいね♪

 ゆき子 | 2016.05.08 5:25

熱い思いが奥からこみ上げる文章をありがとう。
読んだ後に自分の事を物語に重ねて、色々と考えさせられるとても良いお話だったよ。
夢を叶えることしか最初は考えていないものだけど、夢を追う間に体験した全てが、今の自分を支えているんだよね。
そんな事を改めて考えさせてくれるお話だったよ。
またルイナちゃんのお話を楽しみにしているね。

 ルイナ | 2016.05.10 22:32

ゆきちゃん(ゆき子さん)。

ゆきちゃんの想いに重なることができて、すごく嬉しいよ(⋈◍>◡<◍)
夢を追う人は、必ずつらい挫折も経験すると思う。それでも投げ出さずに、自分の信じる道を進んでいけるのは、きっと思いの強さと周りのサポートがあってこそ、だと思う。
夢を追う間に体験した全てが力になっていく。
今回の白鞘の経験はまさにそうだなぁ~なんて思いながら、書いてみたよ♪

いつもお話をたのしみにしてくれてありがとう~♪
また、折を見てショート―ストーリーを書いてみるね!

 Vell&Rindr | 2016.05.08 10:30

ルイナさん更新お疲れ様です!!
本当に素敵なものかたりです♪
美しく躍動感ある表現と、迫る心情がとても心打たれました。
夢。想い。。。叶える事はとても大変な事だけど、いつか、いつか叶うと信じて歩んでいきたいと改めて思いました。

なんてことはない日常、出会い。でもその中でも大きな変革をくれるチャンスがある。そう感じました。どこかであったかもしれない物語。
でもその物語が、深深と心に語り掛け熱い思いを呼び出してくれる。

本当に素敵なお話でした。また次も楽しみにしていますね♡

 ルイナ | 2016.05.10 22:35

ベルさん(Vell&Rindr)さん。

コメントありがとぉ~( ´∀`)bグッ!

わぁ!
そう言ってもらえて嬉しいです♪
本当はもっと長編になる予定だったんだけれど。。。1つの記事として載せたいと考えた時に、やっぱりコンパクトに纏めることも必要かなってΣ(´∀`;)
夢を追い、師と別れ、強く生きていく。
そんな純粋で眩しく、透き通るような白鞘の想いを、1つの物語に仕立ててみました。

どこかにあったかもしれない物語。
これがベルさんの心に深々と語りかけてくれて、またそれを感じ取ってもらえてとても嬉しいです!

また、楽しみにしてくれたら幸いです(*´ڡ`●)

 ビジフォンでいいものを見つけたブレイズ | 2016.05.09 21:19

 ☆11ユニットに ルイナ と名のついた物があります。ルイナで検索すれば出てくるかも?。

 次のショートストーリーはこのユニットでお願いします(むちゃぶり)。

 ルイナ | 2016.05.10 22:36

ビジフォンでいいものを見つけたブレイズさん。

それ!!ww
実はまだ☆11ユニットが取引解禁されていないころに、EXを周回しながら見つけていましたww
このユニットに纏わる物語。。。(; ・`д・´)
すごく難しそうですね~wwΣ(´∀`;)

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